桃栗三年、乳五年。閃乱カグラについて
最近いよいよVRゲームが本格的に盛り上がりを見せ、VR特有の立体感や存在感たっぷりのエロゲーがやりたい!ゲームの女の子の乳を揉みたい!と股間を夢で膨らませていることだろう。しかしここで振り返って頂きたい。約5年前に3Dの飛び出すおっぱいを求めたゲームがあったことを。
その名は「閃乱カグラ」である。
これは2011年9月22日に3DS専用ソフトとして発売された『閃乱カグラ 少女たちの真影』のパッケージである。一瞬で分かることだろう、何よりも「乳」を売りにしているゲームであると。
まず、見ていただきたいのは表面パッケージである。腕を組んでこれでもかと強調した乳が「これはおっぱいを楽しむゲームです!」とユーザーに訴えている。このソフトをレジで店員さんに渡す時の恥ずかしさなど微塵も考えない強気な姿勢が伺える。
次に裏面だ。キャッチコピーである「命懸けで獲りにきて。」やその下に続く「忍の少女たちの戦いの軌跡。それは激しくも悲しい命の証。」という重たい文章とは裏腹に10人の女の子がすし詰め状態である。たとえ裏面であろうと可愛い女の子が沢山出るよ!とアピールを欠かさない為、店員さんに裏面で渡しても無駄なのだ。
最後に側面を見てほしい。画像で言うところの中央の部分である。なんということだろう、墨絵風の渋い龍のアイコンに達筆なタイトル表記ではないか。閃乱カグラというタイトル自体にエロ要素が無いことも相まって、ここだけ見れば硬派なゲームに見えなくもない。しかし流石に側面を向けながら店員さんに渡すことはできない。
ではなぜ側面だけ硬派にしたのか?考えてみてほしい、本作を購入後自室の机の上に置いておいたとしよう。家族に見つかった瞬間家族会議である。それを防ぐために当然隠そうとするだろう。その時、本棚のような場所にしまえば見えるのは側面だけになる。そう、側面だけ硬派にしてあるのは母親の目から逃れる為なのだ。
購入時に店員さんからの羞恥を耐える試練を与える反面、購入後は家族バレへのフォローを忘れないツンデレ的配慮が、ユーザーを男として成長させること間違いないだろう。
パッケージからツッコミどころ満載な本作であるが、そもそものコンセプトが3DSの傾きを感知するモーションセンサー、立体視の3D描写をあわせて、飛び出すおっぱいを揺らそう!であるため仕方の無いことである。
そんなエロにまみれたゲームが果たして売れたのか?
2が出るほど売れました。
しかもただ続編が出ただけでなく、1の完全版である『閃乱カグラ burst 紅蓮の少女達』、PSvitaより『閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 少女達の証明』、その続編『閃乱カグラ ESTIVAL VERSUS 少女達の選択』、番外編として『デカ盛り 閃乱カグラ』という音ゲーまで発売されシリーズとしての地位を確立し、アニメ化も果たしたのである。
なぜ、初作『閃乱カグラ』はおっぱい星人以外見向きもしないようなコンセプトながら『SIMPLE2000』シリーズのようにワゴン行きにならなかったのか。理由は(おっぱいのように)2つある。
1つ目は発売時期である。2011年9月に発売された『閃乱カグラ』だがその時期は3DSのソフトの谷間だった。
『ゼルダの伝説 時のオカリナ3D』、『スターフォックス64 3D』など過去の名作を3DS用にリメイクしたものが6~7月に発売され、マリオシリーズ初の3DS作品である『スーパーマリオ 3Dランド』が11月に発売されるスケジュールとなっていた。
つまり、リンクとマリオという爆乳の谷間に『閃乱カグラ』は発売されたのだ。当然競争する相手もおらず、どうせバカゲーだし箸休めに買ってみるかという需要が生まれたのでは無いかと考える(私がこのパターンです)。
2つ目はおっぱいである。冗談ではない。コンセプトが3DSの機能とマッチしている為に説得力があり、なによりみんな興味があったのだ、3Dのおっぱいに。VRゲームの方でもアダルトゲームに期待が集まる現状からよく分かるように、エロの力は凄まじいといえるだろう。エロいから売れた。以上である。
ここまで、エロスによって売れたことを説明してきた。しかしそれだけでシリーズとして大成するわけがないのだ。いくらエロいとは言えCEROはD(17歳以上対象)であり、ポロリもない。おっぱい以外の魅力が『閃乱カグラ』にはあるのだ。
それは重いストーリーである。あんな爆乳をぶら下げておきながらその爆乳よりも重たい話が展開されていく。
本編の大まかな流れは、主人公「飛鳥」率いる善忍チーム5人とライバル「焔」率いる悪忍チーム5人が強力な力を秘めた巻物を奪い合う争奪戦である。(左:飛鳥、右:焔)
飛鳥と焔はまだ互いを敵と認識する以前にひょんなことから友達になっており、いざ忍務で敵対した時にかつての友を敵として切れるのか葛藤する様子が全編通して描写される……重い。
味方が自分をかばったせいで大怪我をし、無力な自分の不甲斐なさと罪悪感から仲間を裏切り敵に寝返るイベントも存在する……重い。
敵である悪忍も生きるために仕方なくなったものや、違法な忍務から得た報酬を身寄りのない子供たちの支援に使ったり、と完全な悪では無いことがアピールされる……重い。
いきなりだが、ここで私の一番のお気に入りを紹介しよう。乳以前にあきらかな痴女スタイルに驚かされるこちらは「葛城」といい、主人公の先輩である。人のおっぱいを揉むのが好きという性格のおかげで様々なエロイベントで活躍してくれる。しかし一方で、彼女の両親は任務に失敗し追われる身である「抜け忍」となっており、自分が功績を収めることで両親の失敗の責任を取ろうとしている……やっぱり重い。
こんな展開ごときで重いとか鬱とか言うなよ!もっと胸糞悪いゲーム知ってるぜ!と思った方は一度おっぱいを揉んで冷静になって欲しい。こんな頭悪そうなゲームを買う層というのは、爆乳の女の子達がキャッキャウフフバインバイーンな展開を期待している軽い連中なのである。そんな軽い連中にとってはこの程度の展開でも十分に重いと言えよう。予想外に重いストーリーに飲まれたら最後、立派なカグラファンの完成である。
まとめると、『閃乱カグラ』は胸の谷間のような発売時期、爆乳よりも重いストーリー、3DSの機能を最大限に活用したおっぱい表現、これらが合わさりヒットしたのだ。これほど乳に愛されたゲームを私は他に知らない。
ついに5週年をむかえた閃乱カグラシリーズであるがまだ勢いは衰えない。2017年には某イカゲームを彷彿とさせる水鉄砲で打ち合う閃乱カグラ新シリーズが発売される予定であり、いつの日かスマブラに参戦する日もそう遠くないのかもしれない。
3DSの閃乱カグラシリーズは全て発売日に購入しているため早期購入特典のビジュアルブックを3冊所持しているのだが(表紙からエロいため)隠し場所に非常に困っている。